チームジョーバンズ企画第一弾
ミゴーを喰らえ!
文:レクサス
写真:S.Fuji
2004年11月3日。
俺……レクサス(グランブルーお散歩警備隊所属・蒼月流剣士・Lv53)は、その日、朝から体調が悪かった。
頭は痛いし、体の節々も痛い。おまけに、38度台の熱まで出ている。
その症状は、風邪を引いたときのそれに酷似していた。
しかし、これが風邪であるわけがない。
馬鹿は風邪を引かないという大宇宙の法則がある以上、風邪のウイルスは俺を避けて通るに決まっているではないか。
では、風邪でないとすれば、この症状はいったい何なのか?
そんなもの、考えるまでもない。みご巫女の呪いだ。
みご巫女……ひかげさんは、希少動物ミゴーを保護し崇拝している奇特な方である。
そう言えばこの間、彼女にチャットで「今度ミゴ喰いに行くよ〜」と伝えたところ、「そんなこと予告すんなぁぁぁぁぁ!」という心温まる返事を頂いた。
だとすれば、我々がミゴーを喰うことを阻止しようと、彼女が俺に呪いをかけることは十分に考えられる。
てか、それしかありえない。決定。
しかし、俺も男だ。いかなる呪詛をかけられようと、卑劣な脅迫に屈するわけにはいかないのだ。
そんなわけで俺は、薬局に立ち寄ってカ○ナールを飲んでから、待ち合わせ場所に向かったのである。
なお、この日の体調不良がひかげさんの仕業でなかった場合に備えて、以下にお詫びの言葉を記しておく。
勝手にネタにして悪かったな!(大変申しわけありませんでした、の意)
文句があるならベルサイユへいらっしゃい!(深く陳謝いたします、の意)
まあ、つかみのボケはこのくらいにして、話を戻そう。
こうして待ち合わせ場所にたどり着いた俺は、ともにミゴーに挑むジョーバンズの戦友たちを待った。
Fuji「どーも、こんちわ〜」
最初に現れたのは、Fujiさん(セルミナ探偵事務所所属・魔法使い・Lv58)である。
最近はあまりμに入ってこないが、数少ない高位魔法使いとして、古参常連たちの間ではよく知られている男だ。
レクサス「あ、こんちわ〜。入院してたんだって?」
Fuji「そうなんですよ、もう大丈夫ですけどね」
レクサス「……まさか、Fujiさんの入院も彼女の仕業じゃあるまいな」
Fuji「え? 何ですか?」
レクサス「いや、何でもないから気にしないで」
などと世間話をしながら、もう1人の盟友・春永和弥さん(ギルド未所属・狩人・Lv57)を待つ。
しかし、待ち合わせ時間である午後6時半を過ぎても、彼はその場に姿を見せなかった。
レクサス「おっかしいなあ……。春さん、どうしたんだろう?」
Fuji「あ、さっき連絡がありました。電車が遅れてるそうですよ」
レクサス「ひょっとすると、これも彼女の……」
Fuji「はい?」
春永「すいません、遅くなりましたー!」
レクサス「あー、来たみたいだな。そんじゃ行こうか」
そうこうしているうちに春永さんと合流した我々は、意気揚々と目的地に向かう事になった。
目指すのは、千葉県松戸市にある「炭火焼肉・東京苑」。
ここに、いるのだ。俺たちの敵、ミゴーが。
春永「あのう、レクサスさん。これ、ワニって書いてありますけど」
レクサス「よーく読め。ちゃんとミゴーってルビが振ってあるだろ?」
Fuji「……どこにですか?」
レクサス「まあ、細かい事は気にするな。すいません、ワニ3人前お願いします」
Fuji「3人前っ!?」
レクサス「おう、1人1人前はノルマだからな」
春永「ノルマってことは……要するに、それって、マズいって事?」
レクサス「前に喰った時は、とにかく硬かったけどな……」
そう。俺は以前、こことは違う店でミゴーを喰った事がある。
その時の調理法はフライだったのだが、まるでゴムを喰ってるようで、噛み切れないほど硬かった事を覚えている。
そんな話をしながら、俺たちはミゴが出てくるのを待つ。
そして、その時は訪れた。
ミゴーの尻尾の肉を薄切りにしたものが、皿に乗って俺たちの前に出される。
肉の色は白。おそらく、ほとんどが筋肉なのだろう。
薬味としてショウガやネギが散らしてあるが、生臭さは感じられない。
レクサス「さて……それじゃ、焼くか。Fujiさん、頼んだぞ」
肉を焼くのは、Fujiさんの役目である。
理由は、彼がヘイルを使えるからという、ただそれだけであった。
ついでに言えば、我々の中でデジカメを持っていたのが彼だけだったため、写真撮影もFujiさんのお仕事である。
ちなみに俺は、写真の左上に写っている角牛のユッケを食べながらそれを見ているだけだった。
Fujiさん、ホントにお疲れさま。
Fuji「焼けましたよ。この辺は、もう食べても大丈夫だと思います」
レクサス「よし、それじゃ食ってみるか……。みんな、覚悟はいいな?」
3人のハシがミゴ肉に伸びる。
ビビって逃げようとする者などはいない。
我らジョーバンズは、生きる時も死ぬ時も一蓮托生なのである。
レクサス「それじゃ、一斉に行くか……。1、2の、3!」
レクサス「………………」
Fuji「……………………」
春永「……………………」
しばしの沈黙。
その果てに、春永さんがポツリとつぶやいた。
春永「……これ、美味いじゃないですか」
そうなのだ。
意外なことに、ミゴーはホントに美味かったのである。
鶏肉にも似た淡白な味で、脂も少なくサッパリした感じ。
新鮮だからか、あるいは薬味のショウガのおかげか、臭みもまったくない。
心配していた硬さも、薄切りになっているために大したことはなく、平気で噛み切れる。
ってか、適度な歯ごたえがある分、鶏肉よりも美味いかもしれない。
春永「(゚Д゚)ウマー」
Fuji「(゚Д゚)ウマー」
レクサス「こら、お前ら、1人1人前が上限だからな!?」
ワイワイと騒ぎながら、ミゴ肉をむさぼり食うジョーバンズの面々。
さっきまではノルマとか言っていたのに、現金なものである。
そうか、常連達がミゴ湖畔前に群れているのは、この味が忘れられないからだったのか(違)。
ミゴ肉のご利益か、それともカコ○ールが効いたのか、みご巫女の呪いもこの時にはきれいさっぱり解けていた。
レクサス「ふう、美味かったな……。そんじゃ、目的も果たしたし、帰ろうか」
Fuji「待ってください、レクサスさん! 敵です!」
レクサス「え? 敵!?」
Fuji「怪鳥です!」
レクサス「いや、これ、ダチョウって書いてあるし……」
Fuji「よーく読んでください。ちゃんと怪鳥ってルビが振ってあるじゃないですか」
そこまで言われては、こちらも退くわけにはいかない。
敵前逃亡は重罪なのである。
今日の会計は全部俺持ちだと決まっていたのだが、それでも男には、逃げてはいけない時もあるのだ。
ミノやら牛タンやら子袋やらユッケやらと色々喰ったから、ちょっと心配ではあるのだが。
そんなわけで、ものはついでと怪鳥を頼んで喰ってみる。
レクサス「へぇ……。これもなかなか……」
春永「牛肉みたいですね」
やや筋張っていて舌触りが粗い。その食感は、牛肉にそっくりである。
味はコクがあり、淡白だったミゴと違って肉の旨味も十分。
そして何より、肉が柔らかい。
Fuji「うん、これは美味いですね」
レクサス「ひょっとすると、ミゴーよりこっちの方が美味いかもな」
春永「そうですか? 僕はミゴーの方が好きだなあ」
レクサス「ま、それは好き好きってことでいいんだけど……それにしても残念だなあ」
Fuji「何がですか?」
レクサス「いや、この店、羊の肉がないみたいだからさ」
春永「羊……?」
春永「ああっ! jyoさんっ!!」
Fuji「レクサスさん、同じギルドの仲間を喰う気だったんですかっ!?」
レクサス「いや、冗談冗談。もしあったらオチに使えたかも、と思ってさ」
まあ、羊肉がなくてもオチに使うのであるが。
ともかく、こうして松戸の夜はふけていくのであった。
ちなみに、この日の会計は9,600円。
酒を飲まなかったおかげか、心配していたほど高くなかったことをお伝えして、このレポートの締めくくりに代えさせていただきたいと思う。
なお、会話文などは、面白くするためにかなり脚色していることをご了承いただきたい。